日本の紙文化とフランク・ロイド・ライト
設計室 平尾真智子
日本では、暮らしの中で紙の性質をよく理解しながら、重宝に活用してきました。
空気の流れや視界を遮りつつ光を通す良さを生かした『障子』
今私たちが使っている形式の『障子』は、日本固有の建具だそうです。
薄い紙を何重にも重ね貼りすることで、断熱性・遮音性も得られる『襖』。
電球に和紙をかぶせると『照明』になり、和紙から透けてとても柔らかな光になります。
宝塚モデルハウス
そして日本伝統文化でもある『折り紙』。
1枚の紙を切る事なく様々な折り方を組み合わせることで、立体を作ることができます。
1枚の紙で、蓋が閉じられる箱だって作れますよ。
この折り紙、日本だけの文化かと思っていたのですが、近年海外の教育現場で取り入れられているそうです。細かく折っていく作業は手先が器用になるだけでなく、集中力や思考力も高まり、その結果、できあがりを想像する力が身につき、「空間把握能力」や「数学力」のアップにもつながるそうです。
そして、なんと、フランク・ロイド・ライトもこの折り紙に感銘を受けて、『オリガミチェア』と当時呼ばれる椅子をデザインしています。
ライトのデザインは、幾何学を多用しているので直線的なデザインの家具も多い中で、折り紙がベースになっている椅子があるとは日本人として誇らしい限りです!
(この椅子は現在復刻デザインとして、イタリアの家具メーカーで製造販売されています。どんな座り心地なんでしょうねぇ)
オリガミチェア
日本人にとってとても身近な紙文化も、近年は紙離れが深刻化しています。
手紙がSNSに代わり、折り紙がゲームに、本は電子書籍に、建築業界でも和紙がクロスに、障子紙も破れにくい素材へと、社会全体がペーパーレス化に変化しています。
そんな中、弊社では襖や障子、内装に和紙を継続して採用しています。
一般的な和紙だけでなく、柿渋や漆を塗った和紙や唐紙を建具や床の間に取り入れたり、障子に手すき和紙と、住まいの中には様々な紙を取り入れる事ができます。
柿渋和紙
宝塚モデルハウス
ライトも感銘を受けた日本の紙文化、技術が衰退してしまうのはとても惜しいことですので、お住まいのどこかに『日本らしい紙』を取り入れて頂けるよう、ニーズに合ったご提案をしていきたいと思っております。
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~襖工~